XR2206ファンクションジェネレータ

EXARという半導体メーカがXR2206というファンクションジェネレータICを出していました.先行する類似チップにはICL8038やMAX038というのがありました.

1000円前後でネット通販されているXR2206ファンクションジェネレータのキットがあり,ちょっと気になっていましたので私費で買ってみました(実際にはポイントを使っただけだけど).XR2206は当然EXARのオリジナルではなく,HLFという会社のものでした(本物のセカンドソースなのかしら?)

早速組み立てて,オシロで波形を観測してみました.

これ,どう見ても正弦波ではなく,鈍った三角波にしか見えませんよね.この波形では正弦波発振器として失格です.FFTの結果も第3高調波が–26dBc程度,THDに換算すると5%程度になります.

昔秋月電子が出していたXR2206ファンクションジェネレータキットには,正弦波波形調整のための半固定抵抗が付いていましたが,このキットにはそんなものは付いていません.

そこで(R4を外して)基板からリード線を引っ張り出し,外部のブレッドボードに置いた波形調整用半固定抵抗に接続してみました.13番・14番ピン(ここにR4が接続されている)に500Ω,15番・16番ピン(基板上ではオープンになっている)に30kΩ(可変端子はGNDに接続)です.詳しくはXR2206のデータシート(Fig.12)か秋月キットのマニュアル回路図をご参照ください.

オシロのFFT画面を見ながら高調波が最も小さくなるように調整してみました.調整後の信号波形とFFT結果です.

これで高調波は–44dBc以下(THD換算で0.85%程度)ですが,波形をよく見るとまだ非対称性が残っています.回路の歪率を測るような信号源にはできませんけど,入門レベルの増幅回路(例えばトランジスタ1石アンプとかオペアンプの非反転・反転増幅器とか)の測定には使えそうといったところでしょうか.なお出力端子にはIC内部のDCバイアスがそのまま出ていますから,DCカットは必須です.