バーグラフ式温度計:予算1,500円(2024当時)の計測・制御プログラミング教材
2024年4月のある日,卒業生からメッセージが届きました:「先生,1,500円で授業後自宅に持ち帰らせる計測・制御の教材はありませんか?」
PICマイコンを使えば可能性はありますが,工業高校はともかく中学校技術ではそうはいきません.秋月のRP2040ボードと一番安いブレッドボードで1,000円しますから,残り500円でセンサとアクチュエータその他の部品を揃えなければなりません.
この制約条件でたどり着いたのが,10℃〜40℃の温度範囲を2℃ごとに表示するバーグラフ式の温度計でした.
回路図(PDF)と実体配線図(PDF)です.
温度センサにはマイクロチップのMCP9701-E/TO,アクチュエータにはOptoSupplyのバーグラフLEDを3種類(青×5,緑×4+赤,赤×5)用いました.またAD変換の基準電圧源(RP2040をはじめ多くのマイコンADCは電源電圧基準なので,正確な電圧測定をするためには必須)としてTL431系のRT9H301S(イサハヤ電子)を採用しました.TSMCで沸き立っている九州ですので,九州で作られた部品を使うことの教育効果はそれなりに期待できます(長崎県内でしたら長崎県産品ということになります).
LEDの電流制限抵抗は,全点灯時のRP2040出力電流総和が50mAを超えないように,また各色の明るさがおよそ揃うように決めました.
AE-RP2040とバーグラフLEDやセンサ,基準電圧源との結線は,線径0.65mmのビニル被覆単線を用いました.
部品表はこちら.生徒数と予備台数を入力すれば,総額と単価を自動計算します.ダウンロードしてお使いください.
問題は部品代が上昇したことと,安いブレッドボードが現在では「在庫限り」になっていることです.ブレッドボードをEIC-102JもしくはE-CALL 165401020Eに変更すると見積額が1台2,200円を超えてしまいます.
2024年の授業実践では1,500円以下に収まりましたが,持ち帰った際の電源は別途用意してもらうこととしました.
プログラミングはAE-RP2040ですので,CircuitPythonで記述することを想定しています(AE-RP2040へのCircuitPython導入についてはこちら).
中学生にはEduBlocksがとっつきやすいと思います(リクエストしてきた卒業生もEduBlocksで実践しました).
Pythonコードの雛形です:基本形・if不使用版(ライセンス:文化庁 自由利用マーク「学校教育OK」またはCC BY-NC-SA 4.0 International)
温度センサの電圧は,温度センサ出力と基準電圧源それぞれのAD変換値の比に基準電圧(この場合2.495V)を乗じて求めています.温度センサ自身の温度係数とオフセット値はデータシート掲載値をそのまま使用しました(本当でしたら恒温槽を使って個体ごとのパラメータを測定する必要があると思いますが,本機では省略).
10℃以下は青LEDを,40℃以上は赤LEDをフラッシュさせるとか,プログラミングの工夫は色々できると思います.
また,温度センサそのものはブレッドボードから離隔した場所に置くこともできます(3本の電線でブレッドボードから延長).
この辺りは,生徒たちのアイディアで改良・改善させるようにすれば良いでしょう.
書誌情報: 武藤浩二,有田竜清,“バーグラフ温度計を題材とした計測・制御のプログラミング教材”,日本産業技術教育学会 第37回九州支部大会(長崎),C14,Oct. 2024


